とおりすぎる

2013
地下歩行空間 天井に設置したウェブカメラにより
その場所を歩いた人が目の前の壁にプロジェクションされる。

地下歩行空間は「歩く」という行為のための場所。
その空間の中を、一方向に進む歩行者と、
それを後追いするかのように一定時間後れて映し出される映像。

気づかなければ振り返らずに通り過ぎてしまう過去の自分を、
この映像はそのままに映し出している。

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歩く。
自分がいま行こうとしている場所に向かって、先を急ぐ。

通り過ぎる。
その脇で起こっている様々な変化には気づかないままで。

目に映る景色、聞こえてくる音。ざわめき。
わたしたちはそれらを、機能しうる全ての感覚で感じ取っている。

けれど、この現代において、
あらゆるところから流れ込むように入ってくる情報を
ときにシャットアウトするかのように
人間本来の感覚を閉じてしまってはいないだろうか。

眼に見えるものや耳に入ってくる音、声、ざわめき。
仮に、それらの間に隔たりやずれがあったとして、
あなたは、気づくことができるだろうか。

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とおりすぎる
2013 地下歩行空間 チ・カ・ホ / ART STAGE 2013
ウェブカメラ,プロジェクター, Mac

技術制作 船田 治
制作協力 小西工業
協力 山本曜子
撮影 小牧寿里・佐藤史恵